写真展"WHITE GIFT" by リサ・ヴォート

  • 2012.01.05 Thursday
  • 09:33
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写真展"WHITE GIFT" by LISA VOGT
期間:2011年12月17日〜2012年1月20日
場所:SHOZO GALLERY
住所:栃木県那須塩原市

「明けましておめでとうございます」
と言い合うことに今年ばかりは違和感を覚える。
これだけ大勢の人が亡くなっていると
誰かの親戚や友人が繋がっている事が少なくない。
言わば国民の大半が喪中だとも思える。

現に私の知人にも亡くなった方はいる。
けれどそんなことを少しでも気にしていること自体
被災地にとっては失礼なのかもしれない。
あまり深い意味は込めたくないが、今年の年賀状には、
happy new yearではなくnew yearとだけ書いた。

今年は栃木県で年末を迎えた。
一足遅いが昨年最後の写真展をレポートしたい。

"white gift"は、シロクマという"動物"を被写体にしていながらも
一般的なワイルドライフ写真とは少し違っていた。
いわばそれはシロクマという人物を写した"ポートレート"のようだった。

同写真展は、ミッドタウンや六本木ヒルズでも展示歴がある。
大きなところで開催された写真展を
後日、地方の美術館やギャラリーで見かける事は少なくない。

今回のような雑貨屋、ないしカフェの展示スペースというのは
もっともあまり見ないケースだが。
それでもあたりも静かな年末の夕暮れどき、
那須の澄んだ空気の中、ヴァイオリンの音色を聞きながら見る写真は
六本木で見るそれよりもずっと哀愁深いものがある。

"ほんとうの、わたしの居場所"と題された冒頭の文章に驚いた。
リサがこう言っている。
「大好きなシロクマ。
私にとってねシロクマは心を占める大きな存在だ」だと。

なぜシロクマはリサの心を奪ったのだろうか。
街を歩いてもシロクマにこれ以上に固執した人にはなかなか会わない。
おそらく今朝乗った満員電車にもシロクマをこれほど好んだ人はいなかった。

それは、「たぶん私がシロクマだからなのかもしれない」
そう哲学する彼女が撮影したシロクマは
可愛いし、上手いし、それ以上に愛しかった。

"ありのままでいいんだよ"。
そんなメッセージを載せたタイトル。
見ている者が和むのは、このシロクマたちが
リサの愛情を写しているからかもしれない。

と、簡単に言ったが、これは素晴らしいことだ。
上手く撮ろうとか、よく見られよう、ということよりもずっと、
本当に自分が好きなもの、ことを撮る方が大事だと思う。

それに実はそのほうがずっと難しい。
今年も自分が撮りたいものを撮ってる年にしたいと思う。
それでは、今年もよろしくお願い申し上げます!

写真展"印籠カメラ寫眞帖"by 植田正治

  • 2011.12.31 Saturday
  • 23:11
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写真展"印籠カメラ寫眞帖"by 植田正治
期間:2011年12月6日〜12月27日
場所:B GALLERY
住所:新宿区新宿3ー32ー6ー6F

植田正治さんといえばハッセルブラッドでモノクロという印象が強い。
スナップも三脚もライティングもアートもファッションも、といった具合に
物怖じせずに何でも挑戦していく姿勢には何度も励まされた事がある。

今回の会場では、35ミリ判のカラー写真が展示されており
当時を思えば未知への探求心かアマチュアゆえの創作心か
またも留まることを知らない情熱を感じて頭が下がった。

「ぼくも頑張らなくては」などと思う反面、
「努力」なんていう言葉とはほど遠い植田さんの作品が眩しく見える。
その裏に何倍もの苦労がある事実を知っているからかも知れない。

画家が苦悩の末に何度もキャンバスを塗り替え重ねるように、
一枚の絵に対して何度もシャッターを切った苦難は人知れず。
それは、永遠のアマチュアだけに許された趣味の骨頂かもしれない。

写真展"地球の素敵な時間"by 小林康宣

  • 2011.12.29 Thursday
  • 23:39
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写真展"地球の素敵な時間"by小林康宣
期間:2011年12月7日〜29日
場所:dog cafe 田園茶房

"来世紀に残したい風景"をテーマに撮影をしている
小林康宣さんの写真展に行ってきた。

実は小林さんは同じ事務所出身の先輩ということもあり
これまでも何度もお世話になったとても面倒見の良い方。
このような形でそういった方にお会い出来るのは、
この職業のひとつの醍醐味と言える。

"田園調布"と"Dog Cafe"というキーワードから想像される通り、
会場は太陽の日差しに照らされた暖かい雰囲気だった。
田園調布の駅前とアクセスが良いこともあり
私が訪ねた時は既に満席、その後も入れ替わり人が訪ねて来ていた。

展示写真は、JALが定期的に出版している
『AGORA』の表紙に使われた写真の中からセレクトされたもの。
その景色が綺麗なのはもちろんだが、
小林康宣さんの好みが反映されたチョイスがまたにくい。

中でも「クリスマスだから」という理由で選んだという
"ドイツの広場"は、特に印象的で、
薄紫に輝く日暮れのマジックタイムが見る者に魔法をかける。

雪の中を行き交う生活の吐息、ロマンチックな音色を伝い光が揺れる。
いつか憧れた時間へ誘われる一瞬。
ふと立ち返るとそこが田園調布である不思議に再会する。

とても写真の楽しさが伝わってくる写真展だった。
なお、今回の展示作品販売による収益の全ては
小林さんがご縁のある東北の施設に寄付される。

写真展"THE SIXTIES BY KISHIN" by 篠山紀信

  • 2011.12.28 Wednesday
  • 19:46
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写真展"THE SIXTIES BY KISHIN" by篠山紀信
期間:2011年12月5日〜2012年1月中
場所:代官山T-site内

「六本木にヒルズが出来た時くらいの驚きですよ」
そう言って案内してくれたのは代官山T-siteだった。
旧山手通りにある真っ白いそれは、異様な存在感を放っていた。

本屋からレンタルビデオコーナーに向かうと
自然とバーやカフェを抜けるといった導線。
気付けばラテを片手に立ち読みに耽ってしまう。

バーのコーナーからワンフロアくだると
篠山紀信さんの80年代の写真が展示されていた。
作品は僅かに5点しかないがスペースが抜群だ。

8190円の同書はサイン本が並び、
平積みに囲まれたようなその空間は異様な雰囲気を醸す。
軽いのに厳か、興味がある人も無い人も気軽に目に入ってくる。

展示写真集の他にも、『家』、『パリ』、『シノラマ』など
32冊の古書も用意している徹底ぶり。
プロデュースは、やはりG/P GALLERYの後藤さんだった。

空間として居心地が良いこの場所は是非また訪れたい。
路上駐車がし易い旧山手通り沿い。
これから気軽に寄り道が出来ると思うと小さな幸せを感じた。

写真展"アーヴィング・ペンと三宅一生 Vis ual Dialogue"

  • 2011.10.31 Monday
  • 15:48
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写真展"アーヴィング・ペンと三宅一生 Visual Dialogue"
期間:2011年9月16日〜2012年4月8日
場所:21_21DESIGN SIGHT(東京ミッドタウン・ガーデン内)
住所:港区赤坂9-7-6

写真展もさることながら、まず思うのは美術館自体が美しいという事だ。
入り口から両側の壁が収束する点に向かいながら歩いていく、
階段を降りてゆくと、地下には三角形の空間が広がった。

思い出してみると、ここに来たのは
設計者の安藤忠雄さんのイベントを訪ねた以来だ。
あの時は、ミーハーにも握手とサインを頂いた。
サインをするのは向こうなのに、
それを楽しみに待つ自分の手が震えていたのを覚えている。

今回の展示は入場者数がまばら。
私が訪れた日はパラパラと会場に人影が見えるくらいだった。
写真展のために、というよりは、
ミッドタウンに来たついでに折角だから、
という雰囲気の人たちが目立つ。

地下に降りると落書きのようなラフスケッチが壁一面に出迎える。
イッセーミヤケの走り書きかと思いきや、
聞くとペンの撮影前に描いたイメージだという。

申し訳ないが、このラフからあの重厚な写真が生まれるとは思えない。
写真家は絵が上手い、という勝手なイメージを
このスケッチが良い意味で払拭してくれた。

会場奥には大きなディスプレイが並ぶ。
ペンとイッセーミヤケのやり取りが再現された映像。
それにペンの今までの撮影写真がスライドで展示されていた。

この手前に待望のオリジナルプリントがある。
点数は多くはないが、大きな印画紙で見せられると迫力がある。
中でも"a mouth with chocolate"の作品は
異様なまでの魅力を放っており
目の前までくると立ち尽くすように見入ってしまった。

こんなにも妖艶な唇はなかなか想像が付かない。
この一枚を見にくるだけでも価値のある写真展だった。

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