映画「MAN ON WIRE 〜 マンオンワイヤー」

  • 2010.04.03 Saturday
  • 11:29

「僕にとっては単純なことだ。
人生はエッジを歩いてこそ価値がある。
反骨精神を持たねば。
社会の規則に慣らされることを拒み、
出世を拒み、繰り返しを拒む。
日々すべての発想を、真の挑戦と受け止める。
そうすれば人生は綱渡りになる。」


映画『MAN ON WIRE』を見た。
といってもDVDを借りて家で見ただけだが、
これが、すこぶる良い。疑い無き名作だと思った。

ドキュメンタリー映画や自伝的な作品は
しばしば退屈させられる事も少なくないが、
この「マンオンワイヤー」は始めから目が離せなかった。

ストーリーは至って簡単で、
綱渡りが好きな男が、高いところで綱渡りをしたがる話。
だが、問題はその高さにある。

始めは公園などで楽しんでいるだけなのだが、
いきなり思い立ったようにノートルダム寺院の
左右にある塔から塔へ渡りたいと言い出す。

数名の仲間とすぐに行動にうつし、
気づけば男は寺院のちょうど間で手を広げていた。
頼りなく張られたロープの上で寝転び、笑っていた。


間もなくして警官隊に取り押さえられるが
誰に迷惑をかけた訳ではなく釈放。
その帰りに男はとんでもない計画を思いついた。

「俺は、アメリカにある世界貿易センタービルを渡る。
あのツインタワーの上で綱渡りをする。」

突拍子もない無謀な計画はすぐに動き出した。
家の前の庭に大掛かりな台座と綱のアトラクションを作り
ツインタワーの間と見立てては練習に勤しんだ。


しかし、ツインタワーは高さも違えば、国も違う。
アメリカは自由の国と言われていたが、
セキュリティは厳しく関係者の振りをして
潜り込むのは骨の折れる作業だった。

数回にわたる渡米、何度ない潜入とシミュレーション。
始めに協力していた仲間は少しずつ減り、断念も視野に入った。
特に彼らの頭を悩ませたのは風だった。

地上数百メーターを超えるツインタワーの上、
しかも屋上から屋上に吊ったその場所は遥か上空で
地上とは比較にならないほどの強風が吹いていた。

「今日、このタイミングしかない。」

男たちは深夜にビルに潜り込んだ。
監視員の目を盗み数時間かけてロープを張り渡した。
左右の塔には太さ僅かに数センチの繋がりが出来ていた。


そのか細い繋がりは、男の目に確かな道に映ったのだろうか。
二本の巨塔に渡された遥か彼方の天空橋。
強固な大地を確かめるように、男は一歩を踏み出した。


地上の見物客が次に見たのは、
ツインタワーの中央に立っている人間の姿だった。
有り得るはずのない光景に観客は狂喜した。

数回に渡り行き来しながら1時間あまりが過ぎた。
警官に手錠を掛けられて大地に下り立つ彼を
迎えたのは賞賛の拍手と喝采だった。

前人未踏の舞踏を成し遂げた彼の勇気を人々は讃えたが、
警察としては危険きわまりないパフォーマンスを
ただの目立ちたがりだと罵り、
精神異常者として扱い病院に収容した。

「お前はなぜこんなことをした?」

警察官や精神科医はしきりに男を尋問し、
その不可思議とも取れる行動の意味を
なんとかして見出だそうとしていた。


「『理由は?理由は?』
『なぜ?なぜ?』
僕の見方では、それはまさに米国的だった。まったく短絡的な質問だよ。壮大で謎めいた出来事に理由を問う実利性。理由がないから素晴らしいのに。」

男の態度は一貫していた。
そして終始毅然としたその態度は米国民の羨望の的だった。
一見すると人生の全てを無駄なことに費やした男、
働きもせず家庭も持たず社会に認められなかった男、
米国民、あるいは世界中の人々がそんな男に憧れていた。

意味がないとも思える事に人生の全てを費やしている男には
少なくとも人生の全てを懸けるだけの、
意味のある目標があったのだ。


「僕にとっては単純なことだ。
人生はエッジを歩いてこそ価値がある。
反骨精神を持たねば。
社会の規則に慣らされることを拒み、
出世を拒み、繰り返しを拒む。
日々すべての発想を、真の挑戦と受け止める。
そうすれば人生は綱渡りになる。」



**************The Man/綱渡りの男**************
Philippe Petit/フィリップ・プティ
1949年フランス生まれ。
サーカス団には所属していない。幼い頃より手品とジャグリングに才能を発揮し、16歳で初めての綱渡りを行った。同時に馬術、フェンシング、大工、ロック・クライミング、スケッチ、闘牛にも才能を発揮した。その全てを独学で学んだが、これまでに5つの学校から退学させられもした。情熱だけを頼りにヨーロッパ、ロシア、オーストリア、アメリカで芸を披露しながら、スペイン語、ドイツ語、ロシア語、英語を独学で学んだ。また建築や工学にも鋭敏な感性を発達させた。その後、パリの街角で大道芸人としてのキャリアをスタートさせた。ワイルドでウイットに富んでいながら静謐。そのパフォーマンスを見た誰もがずっと愉快な気持ちになれるような存在になる。
フィリップ・プティは近年、国際的に様々なテーマで講演やワークショップも行っている。
自宅はニューヨーク郊外のキャッツキルスにあり、18世紀の建築に見られるような木骨造りの小屋を手作りで建てて住んでいる。著作も多く、最新の著書「スリの技術」はフランスでも刊行された。また、別の著作「雲に届くまで」は、ワールド・トレード・センターのツインタワーで行った違法な高所綱渡りについて詳述したもので、イギリスの劇団ノッティンガム・レパートリーの戯曲としても翻案された。同作は本映画「マン・オン・ワイヤー」の原作でもある。また、本映画はロバート・ゼメキス監督により長編映画としても近々映画化される計画がある。
また、プティの綱渡りに関わった(讃辞を寄せる)友人たちの中には、以下のように多彩な分野の錚々たる面々のアーティスト達もいる。バレエダンサーで振付家のミハイル・バリシニコフ、トワイラ・サープ、映画監督のヴェルナー・ヘルツォーク、ミロシュ・フォアマン、フォルカー・シュレンドルフ、写真家のアニー・リーボヴィッツ、ピーター・ビアード、作家のポール・オースター、俳優のロビン・ウィリアムス、デブラ・ウィンガー、ミュージシャンのスティング、ポール・ウィンター、パントマイムアーティストのマルセル・マルソー・・・など。
プティは現在、ニューヨーク市にあり世界最大のゴシック建築教会である聖ヨハネ大聖堂と、彼の隠れ家であるニューヨーク郊外のキャッツキルスで余生を過ごしている。


**************Awards/受賞歴**************
★アカデミー賞長編ドキュメンタリー映画賞
★英国アカデミー賞最優秀英国映画賞
★ナショナル・ボード・オブ・レビュー・ドキュメンタリー部門
★サンダンス映画祭ワールドシネマ審査員グランプリ&観客賞
★全米批評家協会賞ドキュメンタリー部門
★ニューヨーク映画批評家協会賞ドキュメンタリー部門
★ロサンゼルス映画批評家協会賞ドキュメンタリー部門
★ワシントンDC映画批評家協会賞ドキュメンタリー部門
★米国映画製作者組合賞ドキュメンタリー賞プロデューサー・オブ・ザ・イヤー
★放送映画批評家協会賞ドキュメンタリー部門
★インディペンデント・スピリット・アワード・ドキュメンタリー部門
★米国映画編集者協会ドキュメンタリー部門
★BIFA(ブリティッシュ・インディペンデント・フィルム・アワード)ドキュメンタリー部門
★サテライト・アワード・ドキュメンタリー部門
★ニューヨークオンライン映画批評家協会賞ドキュメンタリー部門
★女性映画ジャーナリスト同盟映画賞ドキュメンタリー部門
★シカゴ映画批評家協会賞ドキュメンタリー部門
★フロリダ映画批評家協会賞ドキュメンタリー部門
★ラスベガス映画批評家協会賞ドキュメンタリー部門
★オクラホマ映画批評家協会賞ドキュメンタリー部門
★カンザスシティ映画批評家協会賞ドキュメンタリー部門
★セントルイス映画批評家協会賞ドキュメンタリー部門
★サウス・イースタン映画批評家協会賞ドキュメンタリー部門
★サンディエゴ映画批評家協会賞ドキュメンタリー部門
★フェニックス映画批評家協会賞ドキュメンタリー部門
★オースティン映画批評家協会賞ドキュメンタリー部門
★トロント映画批評家協会賞ドキュメンタリー部門
★ヒューストン映画批評家協会賞ドキュメンタリー部門
★ダラス・フォートワース映画批評家協会賞ドキュメンタリー部門
★セントラル・オハイオ映画批評家協会賞ドキュメンタリー部門
★カルロヴィ・ヴァリ国際映画祭最優秀ドキュメンタリー賞
★エジンバラ映画祭観客賞

**************<その他>**************
◆ロンドン・タイムス紙が選ぶ2008年のベスト10選出
◆ローリング・ストーン誌・ピータートラバースが選ぶ2008年ベスト10選出
◆米国の映画批評総合サイト「Rotten Tomatoes」べスト1選出
◆全米で大ヒットにつき拡大上映(公開3週目に、単館上映から100館上映へ)

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